Case study
pattern planning
Case.6
定食屋の空きスペースを活用して
たい焼きのテイクアウト専門店をつくりたい。
古代焼きナウマン| 食品・菓子・飲料
定食屋の空きスペースを活用した
ユニークなたい焼きブランド
北24条駅から徒歩3分ほどのところにある、人気の定食屋「ごはん家cafe みやび」。定食屋は、ランチとディナーの間にアイドルタイムがどうしても発生してしまう。このアイドルタイムにもパートさんが働ける環境づくりと、店のデッドスペースを活用し、テイクアウト専門のたい焼きの開発を行いたいというご依頼からブランド開発がスタートしました。弊社では、ブランドコンセプトやネーミング、レシピ開発、試食、ロゴデザイン、グラフィックツールデザイン、ファサードデザイン、焼き型デザイン、試作サポート、オペレーションサポート、SNS運用までブランド開発全域に携わらせていただきました。
小窓に込められた大きな夢
01
北24条駅から徒歩3分ほどの好立地にある「ごはん家cafe みやび」。このあたりを通る人であればご存知の方も多いお店のはずです。土鍋で炊いた炊き込みご飯がおいしいお店で、定食についてくる副菜もひとつひとつ手作りしている。土鍋で炊くお米にもこだわり、毎日使う分だけ玄米から精米しているという。実はこのお店、元々このお店が大好きだった二代目のオーナーさんが事業承継しているのですが、前オーナーさんが「いつかたい焼きをやりたい」と作った小さな小窓があったのです。二代目のオーナーさんは、創業者の想いを大切にしており、この小窓を生かしてたい焼きをやりたいという夢を実現しようというプロジェクトのはじまりでした。
「たい焼きはやったことがないので、すべてお任せしたいと思っているのでぜひ一緒にやりましょう!」というお話になったのが2023年の初夏でした。
さて、どんなたい焼きを作ろう?
02
売れるたい焼きを作るために、まずはリサーチからスタート。元々、あんこスイーツやたい焼きは大好きでしたが、すべてのお店の食べ比べをしたことがあるわけではないので、とにかくベンチマークとなるお店を調べて、買いに行き、焼き立てを食べることと、少し時間が経ってから食べることを繰り返します。
これと同時に、コンセプトやネーミングも検討開始。ここで練り切れるかがいつも鍵になるのでブランド開発の中でとても大切な時間です。普通のたい焼きがおいしいのは当たり前。おいしくて、おもしろくて、でも本質的で愛され続ける要素もある。この掛け算はいつも頭から血が吹き出そうになります。
03
「古代焼きナウマン」に命名!
いつもブランドを作るときには、「業態寿命が長いもの」を作りたいと思っています。もちろんそういうご依頼でないときもあるが、ただおもしろいだけ、映えるだけというだけでは本質が足りない気がするんです。
今回は、新しい北海道土産になるような存在感と地域性、美味しさの裏付けが必須だと思っていました。そこから、北海道にいた古代の動物であり、近くにある北海道大学の博物館にも展示されている「ナウマンゾウ」をテーマにしたらどうだろうという発想が浮上!そして、古代のモチーフを焼くんだから…古代焼き!どう!!?
北海道といえば、熊や鹿、リスなどを思い浮かべがちですが、実は、ナウマンゾウのほぼ一頭分の骨を北海道で発掘ができたのは世界初の偉業であり、「世紀の大発見」とも話題となったそう。そして、ゾウは世界的に縁起もよい動物とされている。平均寿命が60年ほどと長く「生存」「繁栄」「生命」といった意味合いや、厳しい自然環境でもたくましく生きる生命力にあふれた動物であるため「健康増進」「長寿」といったご利益もあると言われています。また、ゾウは家族で行動するため「幸せの象徴」ともいわれているらしい。
ナウマン、いいかもしれない。
いつもこんな感じでブランドを作るんですが、思いつきをしっかり本質に変えていかないと根付くものにはなりづらいんですよね。でも、思いついたことをとにかく口に出すことが大事。ここからさらにブランドを深掘りしていきます。
ナウマンの焼き型デザイン
04
まずは時間がかかる焼き型から着手。ナウマンゾウといってもいろんな表現方法があるので、試行錯誤を繰り返しました。木彫りの熊のようなリアルさを追求することもできるし、子どもからも愛されそうなかわいらしいゾウにすることもできる。でも今回目指していたのは、ユニークで憎めない、見れば見るほど味が出てくるようなナウマン。このナウマンをNEW,inc. が見事に作り上げてくれました。
でも、果たしてクライアントはこの謎のキャラクターをOKしてくれるのだろうか?(笑)でもクリエイティブを作り上げていく過程の中で、わたしたち自身がこのブランドに愛着が湧くといくんですよね。これは絶対売りたい。そんな想いが原動力になると思っています。
試作と試食を重ね、独自のレシピ開発
05
お菓子の開発は「また食べたくなるか」がとても大事です。どんなに真新しくても一回食べたらもういいねとなってしまうものは、リピートにつながらない。明日も食べたい、人に伝えたい、大切な人と食べたいと思えるものを常に作りたいと思っています。
今回のレシピ開発は、信頼している「MINY’s KITCHEN」の舛田悠紀子さんとタッグを組むことにしました。
わたしたちが作りたい具材のアイディアから、皮と具材の模索がスタート。皮は外側はパリ!内側はモチッとするようなイメージを共有し、香ばしさも感じる味わいを目指しました。また、具材は「小豆」「クリーム」「スパイスカレー」「焼とうきび」の4種を作りたいと思っていたので、この4種類の具材の方向性や材料などの検討を進めていきました。
開発段階では、本物の焼き型がまだ完成していなかった中で、代用品などを駆使しながらクライアントとの試食も重ねていきます。試食のときにはドキドキしますが、「これはすごくおいしいかもしれない!」というクライアントの安堵の表情を見ると嬉しさが込み上げてくるんですよね。さらにここからオープンへ向けて、試作を繰り返していきました。
使っていなかった小窓がテイクアウト専門店に
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01でご紹介したような小窓が元々ついていた、ごはん家cafe みやびの外壁に「古代焼きナウマン」が誕生しました。ファサードの一角だけを左官で仕上げることで、ナウマンの洞穴のような古代感のある店構えになりました。小さな「ナ」ののれんは皮を使って本格的な仕上がりに。のぼりも既製品は使用せず、布から探してデザインし、縫製してもらってオリジナルのぼりを作りました。通常、のぼりを支える水タンクの部分は藁で作っています。こうした一つ一つのディティールにこだわっていくことで、ブランドの世界観を伝えていくことができると思います。
「なければ作る」の精神で、みんなで楽しみながら作り上げていきます。
クリエイティブやSNSで世界観を
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ここまできたらあとはお客様に知っていただくために、どんな伝え方がいいかを考えていく段階に。焼き型が完成して、うまく焼けるようになってきたところで撮影のスケジュールを組み、撮影する際のスタイリングも自分たちで行います。
またナウマンを包装するパッケージなども徐々に完成。既製品とオリジナルを組み合わせながら、手に取ったお客様が嬉しいパッケージを作っていきました。
SNSは、お店がまだ完成していない段階での告知や、オープン日にあわせてどのようなスケジュールで発信していくかなどをクライアントと相談しながら組み立てていきます。自分がお客様だったらどんなお店ができるとワクワクするのかという、客観的な目線も忘れないように。
シンプルなウェブサイトも制作
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古代焼きナウマンのブランドコンセプトをはじめ、こだわりや味の種類などもわかりやすい、シンプルなウェブサイトも制作しました。「古代焼きナウマン」と検索エンジンで探していただいたお客様にも、ちゃんと自社サイトに辿り着いていただけるはずです。
SNSではユニークさやカルチャー感を出していますが、ウェブサイトは氷河期のナウマンの威厳や世界観を大事にしながら、ビジュアルにあえて差をつけていくようにしています。
※画像はスマホ版の画面です
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古代焼きナウマン ついに誕生
2024年1月16日(火)ついに古代焼きナウマンがグランドオープン。
約半年のプロジェクトとなりましたが、一つの小窓に込められた夢が、このような形で実現できたのは、クライアントであるSPdiningのみなさんの熱い想いと、パートナーの方々のプロフェッショナルな仕事の結晶だと思います。ここからが本当の勝負。オープンしてからもオペレーションの改善などを続けていく必要があると思いますので、引き続きクライアントと共に伴走していきたいと思います。
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