小樽天狗山の事業運営を行っている中央バス観光開発株式会社。赤坂と中野さんの出会いは、中野さんが小樽市役所観光振興室にご勤務されていた約10年前に遡ります。現在、赤坂と共に小樽天狗山を担当している伊藤(筆者)が「これまで」と「これから」に迫ります。
仕事のきっかけは、遡ること10年前。
———おふたりの出会いは、若菜さんのporoco時代ですよね。
赤坂:札幌のタウン情報誌「poroco」に営業職として勤めていた頃に飛び込み営業(電話)をしたことがきっかけ。当時、最初に電話をした時はめちゃくちゃいろんな課に回されたんだけど、最終的に相手をしてくださったのが当時小樽市役所にお勤めしていた中野さんで(笑)そこから小樽特集のページをつくらせてもらったりしましたね。
中野さん:porocoの誌面をベースにしながら、別刷り冊子なども使った企画を提案してくれたよね。正直言って最初は気合いの割にあまり良い出来ではなかったけれど、どんどん素晴らしいものを作ってくれるようになっていった。これまでありそうでなかった、小樽市内の寿司屋を紹介する「小樽寿司本」は画期的で、今のパターンプランニングでの活躍に繋がるものを垣間見ることができた気がします。
独立するときも相談されたけど、しっかりしたビジョンを示してくれたので賛成しました。
天狗山から望む美しい景色を
もっと多くの人に知ってもらいたい
———その後、赤坂が独立をして、最初に天狗山にはじめて関わらせていただいたのは2017年。毎年8月末に開催されている2日間のイベントのうち「おたる天狗山夜景の日」でした。どのようなきっかけだったのでしょう?
赤坂:十勝ヒルズ(幕別町)で「GARDEN PICNIC」などのイベントを企画していた頃に、私のFacebookでアップしていたらたまたま中野さんが見てくださっていました。「小樽にも天狗山という素晴らしい眺望の山があるから面白いことができるかもしれないよ。ぜひ一度見にきてみて」とお誘いいただいたことがきっかけだった気がしますね。
中野さん:元々、「夜景の日」は小樽市市制80周年の記念で始まったイベントで、天狗山の夜景の素晴らしさをもっと知ってもらって輝きを取り戻そうという目的でした。最初は小樽市の観光担当として携わっていたいましたが、もっと良くしていきたいっていうタイミングと重なっていたような記憶があるな。
赤坂:きっかけをいただき天狗山に初めて登ったら、すごい景色だなって涙が出るほど感動したんですよ。「これはなんかやりたい!」ってすごく思った記憶がある。よくある展望台はもっと整備されていて少し人工的な感じがするけど、天狗山って柵もないせいか宙に浮いているような感覚になったんです。
赤坂:その自然体の展望台に私はすごく感動しました。大パノラマで真っ青な海と空がグラデーションに見えるなんてあんまりないですよね。この景色は、北海道の財産だと感じて、もっとたくさんの人に見てほしいとすごく思いました。
「ノスタルジック夜景カフェ」
からはじまった、これまでの歩み
———2017年の「ノスタルジック夜景カフェ」を振り返るとどうでしたか?
中野さん:率直に、新しい感覚だなと思いました。このイベントは単発のものではあったけど、これで終わりではなくてもっと伸ばして行けたらいいなと。いきなり全部完璧にっていうのは難しいからね。
赤坂:そうですね。一気にいろいろ変えようとするとお金も時間もかかるし、継続することが難しくなってしまうことも多いですしね。このイベントは企画から当日の運営まで中央バスの皆さんと共に作り上げたものだったので、「納得感」と「今後の継続性」を大切にしたいと思っていました。
———おふたりには「できることから少しずつ」という共通の想いがずっとあるんですね。
赤坂:私は性格上、どんどん挑戦したいタイプではあるので、もっとよくしたいという気持ちはどこかにありました。でも歩みをゆっくりにした方がいいこともあると、天狗山のお仕事をして学ばせていただいたことがたくさんありました。プロジェクトを進めるにあたって、中野さんが「ここまではやるけど、やっぱりこっちは来年以降に見送ろう」など実施内容の整理をしてくれていました。こんな風に、先を見据えながらクライアントと連携して動くことができる環境に感謝しましたね。
中野さん:まあ予算もあるしね笑
赤坂:でもそれによって、私も歩みをちゃんと合わせつつ少し先を提案したりしながらやっていくっていうペースとその良さを学ばせてもらったなって。
———イベントをきっかけに、これまで様々な取り組みがありましたが。例えばコロナ禍に制作したプロモーションムービーはどのような流れで作ることになったのですか?
赤坂:ちょうどコロナ禍に突入してしまい、イベントの実施は難しい年が続きましたが、その中でも集客できる方法はなんだろうと模索していた頃でしたね。世の中が止まってしまっている中でも、今できることをしていきたいと思っていたことと、アフターコロナに向けて前向きな準備をしていく必要があると思っていました。
その中でも「動画」は、私が最初に味わった感動を一番伝えられる手段なのではないかと思ったことと、言語が違う外国の方にも伝わりやすいのではないかと思い提案しましたね。
———提案された時はどうでしたか?また、道外へ営業にも行かれる中野さんとしてはどのように活用されているんですか?
中野さん:まず海外の観光施設のPVを参考に見せてくれて、すぐにイメージが掴めました。
活用方法としては、パンフレットをただ送るだけではなくて、この動画のURLをつけてメールをしたりしました。実際に話せる時は「アクティビティは、こんなのやってますよ」と説明するのにもとても役に立ちました。
赤坂:作ったものが活用してもらえるというのは本当に嬉しいですね。
「今、一番必要なもの」は
長く関わり続けるからこそ
同じ目線で見えてくる
———これまでの数ある提案の中でも、中野さんが一番驚いた提案ってありますか?
中野さん:山頂にあった「展望レストラン天狗」を「TENGUU CAFE」というカフェに変えてみてはどうかという提案かな。大きなお金をかけてリニューアルまではできないと思っていたけど、店名のロゴとファサード(入口まわりのデザイン)という最小限の部分を変えることで、ガラッと印象が変わりました。
中野さん: 1日〜2日のイベントにある程度の費用を投資するんじゃなくて、もう少し長い期間で考えて「カフェのプチリニューアルに使う」っていう提案をされたのは目から鱗だったね。
赤坂:ありがとうございます!デザインとかクリエイティブは、費用対効果だけで図りづらいことも多くありますが、やっぱりクライアントの立場に立って考えることが大切だと思うし、結果を出さなきゃ続けられないですよね。
会社として「いいね」とならないと「じゃあ翌年もなんかやろう」っていう気にはならないと思います。
社内への周知や理解活動のありがたさ
———ちなみに先ほどのカフェのリニューアルはかなり大きな変化だったと思うのですが最初からすんなり進めることができたのでしょうか。
中野さん:いや、なかなか…(笑)最初はみんな半信半疑だったと思うのですが、実際に完成してみると成果も出てきてだんだん理解されるようになっていきました。今は、運営に関することを考える社内のメンバーも増えてきたので頼もしく感じています。
赤坂:私としては、冬用PR動画の撮影した時に試行錯誤しながら制作したことがとても記憶に残っています。社員の皆さんの協力体制が素晴らしくて。極寒で辛い環境でも「やり切ろう!」っていうチーム結束力が上がってきたっていうのは、やっぱこりれぐらい長く一緒にお仕事をしてないと絶対実感を持てなかった喜びだなって思って。1人でちょっと、めちゃくちゃテンション上がってました(笑)
地道に築き上げてきた関係の深さが
提案とアイディアの質にもつながる
中野さん:もうなんでもわかってる間柄だからこそ、天狗山にとって一番良い提案してくれるような気がしています。逆に、社内のメンバーでは気が付かないところまで言ってくれるようなところも期待しています。
赤坂:私はいつも継続的にお受けしているクライアントさんのお仕事は特に「マンネリ化しないように」「ちょっとアップデートしていく」とか、何か違う提案をしたいと思うんです。例えばイベントなら、もしかしたら同じままやった方がいい年もあるかもしれないけど、ちょっとチャレンジングな提案をちゃんとした上で「やっぱり前例に習いましょう」にするなど。私自身の考えもマンネリ化しないように意識しています。
赤坂:何年もかけて、このような関係性を築かせてもらったことで、PATTERN PLANNINGに及ぼしてくださった影響は大きいんです。10年以上、長く関わり続けさせてもらっているからこそブランディングに対する考えの幅も広がりました
———あとがき
「一度に全部完璧に」が必ずしも正しいわけではなくて、「歩幅を合わせて伴走する」というPATTERN PLANNINGの考えを広げてくださったクライアントさんのひとつ。
最後に「今後私たちに期待したいことは?」と伺うと、「毎年新たな視点でアドバイスをもらいながらパターンプランニングの良さを生かしてサポートしてくれるような感じになれればいいなと思っています」と答えてくださった中野さん。毎年恒例の夏イベントはもちろんのこと、まだまだお力になれたらなと改めて感じた対談でした。
皆さんもぜひ小樽にお越しの際は、天狗山に立ち寄ってみてくださいね!
中央バス観光開発株式会社 常務取締役 中野弘章さん
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小樽天狗山ロープウエイ / スキー場
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